「京の地蔵盆」ウィズ コロナ
「京の地蔵盆」は「京都をつなぐ無形文化遺産」の指定を受けているが、コロナ禍のため、各町内での開催が危ぶまれている。
その中、京都市では感染対策を考えた「地蔵盆ウィズコロナ」の取り組みを行う。
離れていても楽しめる「テレ地蔵盆」として、特設サイトでビンゴ大会を開催する。卸売ひろばタカギと㈱熊本玩具が景品を提供する。
「地蔵盆ウィズコロナ」として、各町内会等でも参考にできるよう、「数珠回しを例とした感染防止策の動画配信」をする。また、地蔵盆実施のための情報交流の場を設置して、アイデアを募集する。地蔵盆の意義を再発見できるメッセージの配信も行う。
「京の地蔵盆」の存続運動を続け、京都市と協働している㈱丸正高木商店の高木誠治会長は、
「中止したり、商品券を配るだけといった対応を考えている町内も多い。一回途絶えると来年以降開催されず、伝統が途絶える可能性もある。子どもたちが楽しめ、また町内の絆を深められる素晴らしい伝統行事なので、例年通りにはできないにしろ、その楽しさを受け渡す企画を提案している」と語る。
詳しくは京都市の特設サイト「京の地蔵盆ウィズコロナ」を参照。
https://kyo-tsunagu.net/jizobon_with_corona/
地蔵盆について、高木誠治会長のインタビュー記事
(2014年8月12日号より)
毎年、8月23、24日を中心に町内の路地で行われる地蔵盆。
少子化や地域社会の変化で縮小傾向にあるなか、京都市では現在、地蔵盆の「京都をつなぐ無形文化遺産」第3号指定に向け、審査を行っている。存続に力を入れる㈱丸正高木商店(髙木輝社長)の髙木誠治会長にお話しを伺った。
地蔵盆は、子どもたちのお祭りとして関西地域で行われるが、盛んなのは京都。お地蔵様を壇に供え、きれいに化粧直し、その前に集い、2日間の行事予定が貼られる。かつては数珠回し、籠おろしによる福引きなどがよく行われた。西陣の一部地域ではお盆休みにするし、大日如来をお祀りする町内はその縁日に合わせ、28日前後となる。また、近年土日にずらしてするところも有る。
いまでも町内会最大のイベントであり、「予算20万~25万として、京都経済への効果は10億円程度」と推定する。
地蔵盆の最大の魅力は、町内の絆を作ることだと話す。「個人が孤立していて、隣がどんな人かもわからないし、鍵っ子なども増えている。せめて、地蔵盆で集まる。そこから、挨拶するようになったりなどつきあいが生まれる」
「子供が産まれたら、提灯をだしたもの。地域社会へ入るきっかけでもあった」
川柳「今日だけは宿題したのといわれない」
町内会も持ち回り制になり、地蔵様のお祀りの仕方など申し伝えていくのが難しくなってきている。
そんな中同社では、平成17年に、地蔵盆の良さを認識し盛り上げていこうと「地蔵盆エッセイ・川柳コンテスト」を京都新聞で募集して行い、小冊子にまとめ、5千部ほどを町内会に配った。読むと、お菓子、映画上映、子どもカラオケなど夜遅くまで遊んで、子どもたちにとって地蔵盆がどれだけ楽しみだったか伝わってくる。
髙木会長はまた「大人の地蔵盆」も提案している。子どもが減る中、町内の大人たちが集まって、お菓子やおつまみを用意し、外で語らうことで、絆が生まれる。
もちろん、同社では物質的な支援もしている。
タカギ三条店の売りは、地蔵盆のものは全部揃うこと。お菓子は袋詰めのセットはもちろん、伝統的な卍落雁や紅白の砂糖、また、氷みつ、福引き景品、花火、足洗のお酒まで。7月終わりからセールを始めているが、ピークは、8月の第1、第2の土日。歳末セールのある12月より、8月の売上が多いほどだという。町内会の買い出しは3人から5人で来店し、会長や会計、子どもの好みの分かる子育て世代の母親らが相談しながら買っていく。お菓子のセットも、90円から550円まで揃っているが、売れ筋は450円のセットだという。
地域の菓子小売店が無くなっていく中、同社の果たす役割は大きい。同じ千本三条のおもちゃ店、熊本玩具と共同して3千の町内会にDMを送った。
「今年の祇園祭・後祭の復活など、町衆の文化を取り戻す動きも盛んだ。地蔵盆は生活の祭り、盛り上げていきたい」と話す。