㈱菓業食品新聞社

お菓子の業界紙

南信州菓子工房 新感覚の国産ドライフルーツ

   

 2012年創業の南信州菓子工房㈱(木下裕亮社長、長野県下伊那郡阿智村)は、新技術の国産ドライフルーツで急成長を続けている。

 しっとりとした食感と味・香りの良さを実現した商品が人気をよんでいる。同社のある飯田地域は半生菓子メーカーの集積地であり、その伝統の知恵と最新鋭の技術を結集した。

 木下社長は「半生菓子は成熟市場であり、今までにない新しい商品で創業したいと思った。ドライフルーツは輸入ものだけで、国産のものがない。そこに商機があると考えた」と語る。
 果物王国の地元南信州のりんご・柿を用いた、おいしいドライフルーツの開発に力を入れる。加熱するとおいしさが失われることから、加熱をせず、真空技術などを用いた新しい製法を1年をかけ確立した。半生菓子のようなしっとりとしたやわらかい新食感で、味も香りも良い新しいドライフルーツが生まれた。香料なども使用せず、自然のおいしさが生きている。

 原料の産地には徹底的に拘る。南信州のもの、長野県のもの、国産でも産地を厳選している。地場の名産の市田柿、りんご(ふじ)から、長野県の白桃、ラ・フランス、または国産のいちじく、梅などに広がっていく。春・夏向けに柑橘類も始めた。その中で開発した「輪ぎりレモン」が大ヒットし、看板商品になった。

 販売は、地元スーパーのツルヤや、阪急オアシスや成城石井のような高級スーパー、カルディなど輸入食品店に広がっている。

「さつまいもグラッセ

 また、新しく半生菓子の技術(甘納豆)を利用した芋のグラッセの製造を始めた。「さつまいもグラッセ」は、おしゃれな装いのパッケージで、セブンイレブンより9月3日から登場。

「たべるハイビスカス ローゼル」

 海外との提携も始まった。「食べるハイビスカス」として台湾のローゼルを商品化。ハイビスカスティーの原料を使用したもので、美容効果が期待され、関西で人気がでてきたという。また、サンキストとコラボし、厳選したニュージーランド産のレモンを用いた商品も生まれた。
 また、ドライフルーツを使った二次商品や菓子メーカーとのコラボも考えていきたいとのこと。
 創業7年で年商10億を超え、海外からも注目される新技術を持つ同社の、今後の発展に興味が尽きない。