北野天満宮で「京菓子コレクション」
3月2日(金)~4日(日)、上京区の北野天満宮の文道会館で、京菓子の魅力に触れられるイベント「京菓子コレクション」が行われた。昨年京都をつなぐ無形文化遺産に「京の菓子文化」が選定されたことを記念し開催したもので、京都市、京都市観光協会、北野天満宮が主催し、老舗8店が協力した。
上生菓子2品がお薄と一緒に味わえたほか、菓子の作品展、製作実演、パネル展示、講演会などが開かれた。入場券は梅苑とセット(2000円)で、3日間で1560人が来場した。
上生菓子は老松、鍵善良房、亀屋良長、笹屋伊織、末富、俵屋吉富、鶴屋吉信、二條若狭屋が提供し、外に床几も出し、梅を見ながら楽しむこともできた。
京菓子の歴史や文化の紹介のほか、各店の木型などの道具や昔の見本帳が展示された。また、「京の都」「京の名所」をテーマに、各店が技を競った菓子を展示した。
実演コーナーも設けられ、2日は亀屋良長、4日は俵屋吉富が担当した。3日は笹屋伊織の伊藤達也氏が前に立ち、梅や桜を題材にした上生菓子を作った。また桜の菓子でも「ひとひら」「宴」「春霞」などあると話し、それぞれの菓子がもつ情景を説明していた。
講演会「芸術文化としての京菓子」
文化講座として、2日は笹屋伊織の田丸みゆき、3日は(公財)有斐斎弘道館の濱崎加奈子、4日は末富の山口富藏の各氏が京菓子にまつわる講演を行った。
濱崎氏は「芸術文化としての京菓子」との演題で話し、京菓子公募展の意義についても触れた。
京菓子とはその時、その場、その相手のために作られ、また文化的背景を持つ銘によって化学反応をもたらすもの、日本文化の感性を伝えるもの。京菓子を大切にするには、食べる側も選択する必要がある、そのためには歴史的・古典的な知識も必要だと話を進めた。
弘道館での京菓子展には、実作部門のほかに、デザインを公募しそれを元に職人が菓子にするデザイン部門がある。その作品を映しながら、絵からお菓子にする職人のせめぎ合いを説明し、それが、新しい技術や意匠を生んでいると語った。
「デザインを自分で描いてみると、プロや定番のお菓子のすごさがわかる。京菓子のデザインを考えることは、文化を真に理解することにつながる。京菓子により歴史の中に自分がいる意識を取り戻すことができる。今年のテーマは源氏物語なので、ぜひ公募展に応募してほしい」と話した。