㈱菓業食品新聞社

お菓子の業界紙

亀屋良長リニューアル

   

 亀屋良長(吉村良和店主)では、11月28日(月)、本店を改装オープンした。同店は創業1803年、銘水「醒ヶ井」が湧く中京区四条堀川西入るに本店を置く京菓子の老舗である。
 改装では店頭にあった駐車スペースをなくし、四条通の歩道まで前面に店を広げた。内装は白を基調とし、店内配置では、同店が手掛ける「satomi fujita」「吉村和菓子店」の両ブランドを、わかりやすくゾーニング。セルフ棚を充実させて、一個から自由に選んで買える楽しさを演出したのもポイントとなっている。

 入って右手が亀屋良長の商品、中に島を作り、洋菓子の要素を取り入れたsatomi fujita ブランドを置いている。二条通にカフェショップ kashiya を出店した藤田怜美氏だが、こちらでも新商品の開発など引き続き行っているとのこと。左手はセルフ棚となっており、充実してきたテキスタイルブランドSOU・SOUとのコラボ商品も置いている。

「吉村和菓子店」

吉村由依子さんと吉村店主

 今回の1つの目玉は、店主の妻である吉村由依子氏がプロデュースする「吉村和菓子店」コーナーの設置である。同ブランドは、6月に開催された甘党市でデビュー、血糖値の上昇率(GI値)の低い素材を使った身体にやさしい菓子を提供する。
 吉村店主はブランド立ち上げのきっかけを「10年ほど前の罹病をきっかけとして、肉や魚が食べられなくなり、また、精製度の高い上白糖やお餅などの組み合わせが身体に負担となるようになった。自店に、自分の身体に合う商品を置きたい気持ちがあった。また、(栄養学を学んできた)妻に、糖尿病の方が食べられるお菓子の相談などが来るようになったことも後押しした」と話す。

焼き鳳瑞 「種まき」

 同店銘菓「烏羽玉」をアレンジした「美甘玉」ではココナッツシュガー、ココナッツミルクを使用した。また、「焼き鳳瑞『種まき』」はココナッツシュガーとパラチノースを使用したメレンゲに、玄米、韃靼そば、かぼちゃの種などを乗せて可愛らしく焼いた。

 亀屋良長の新商品にも健康志向は感じられ、「あづき餅」は小豆の煮汁で練り上げた餅に大粒の小豆を加え、きな粉をかけ食べるもの。「身体に良いといわれながら、今まで使っていなかった煮汁を利用したが、おいしく評判はよい」とのこと。
 京菓子として伝統を守りながら新しい試みを続ける同店に注目である。

あづき餅