㈱菓業食品新聞社

お菓子の業界紙

『Sweet Support』医療従事者に京都のお菓子を

   

 ㈱市川商店の市川智裕氏は、医療従事者に京都のお菓子を届けるプロジェクトを進めている。

 医療従事者支援プロジェクト『Sweet Support』と名付け、4月、5月と、所属する京都府菓子工業組合青年部等を通してお菓子の寄付を募り、京都市内の病院に届けた。さらに6月8日(月)からは、クラウドファンディングを用いて一般消費者からも寄付を募るプロジェクトを始動させた。

 『Sweet Support』は、コロナ禍の中、市民のために尽力する医療従事者に対し、菓子業界からもエールを送ろうと始めたもの。緊張感を持って従事する方へ、心をリラックスさせるお菓子の力で貢献したいと考えた。京都菓子メーカーの若手の共感を得て、4月には約10社から賛同があり、病院に送ることができた。病院からは、喜びの声が伝えられた。
 第2弾として、5月下旬から6月上旬にかけて、14の菓子店から協力を得て、3つの病院(京都府立医大病院、京大病院、足立病院)に届けることができた。
 そのうち足立病院では、妊婦全員へのPCR検査の実施など、新型コロナ対策の先鞭をつけてきた畑山博理事長に直接手渡すことができたという。

足立理事長(左)、市川氏(中)

 今回新しく、クラウドファンディングを採用したのは、長期的な支援を目指すため。
 「京都では新しい感染者は減ってきたものの、入院患者はおり、医療従事者の負担は続いている。二次流行の可能性もあり、ワクチン完成までの長い戦いになる。京都の菓子メーカーも今は大変な状況にあり、その寄付だけでは続かない。仕組みを作る必要があった」と経緯を語る。

 READY FORのサイトを用いて寄付を募り、寄付金で京都の菓子を買い、菓子店から寄付されたお菓子と合わせ、寄付者らのメッセージを添えて病院に届ける。来年の4月まで毎月続ける。
 市川氏は「クラウドファンディングは驚くほど順調で、応援メッセージもたくさん届いている。公開2日間で、目標の70万円に達した。そこで、ネクストゴールとして140万円を設定し、医療従事者の家族の方にもお菓子を届けたい」とのこと。

 「コロナ対応の医療者に対して心ない言葉が掛けられることがあるとも聞く。また、コロナ患者を受け入れた病院は経営が厳しくなっているという。一方、小豆などを商う当店も売り上げが落ち込み、販売先のお菓子屋さんも苦境にある。世界中が経験したことのない、未曽有の事態だからこそ、それぞれがベストを尽くして誰かのために動く時だと思う」と語る。

医療従事者支援プロジェクト『Sweet Support』⇒ https://readyfor.jp/projects/sweet-supportproject