㈱菓業食品新聞社

お菓子の業界紙

たねや ラ コリーナにカステラ専門店

      2016/08/09

ラ コリーナ近江八幡

ラ コリーナ近江八幡

 たねやグループ(山本昌仁CEO)は7月15日(金)、ラ コリーナ近江八幡(滋賀県近江八幡市北之庄町)にカステラショップをオープンした。6月6日の本社移転に引き続き、たねやグループの新しい本拠地「ラ コリーナ近江八幡」がまた大きく前進した。 

 「ラ コリーナ近江八幡」は、たねや日牟禮ヴィレッジや近江八幡の歴史的地区から約1.5㎞、八幡山東麓に11万6000㎡の広大な土地を有す。菜園やショップ、本社棟などを配しながら、そこを数十年かけ森に戻していく計画だ。昨年1月のメインショップ「草屋根」のオープンが、ラ コリーナの第一歩となった。昨年1年で、165万人の来場があり、すでに注目の観光スポットとなっている。

 新しく出来たカステラショップは「栗百本」、本社棟は「銅屋根」と名付けられ、今回も、藤森照信氏の一体的な設計思想の下、植物を多用したユニークな建物となった。

メインショップ「草屋根」

メインショップ「草屋根」

 カステラショップオープン当日は、メインショップ「草屋根」で、9時からセレモニーが行われた。㈱たねやの山本昌仁社長が、「これからお見せするのが、今のラ コリーナのすべてだ。これからも皆様のご指導のもと、進化させていきたい。今日開店する店は、会長が若いときから作ってきたカステラの店。長野県や岐阜県に、栗の木を見に行き、(創業年間である)144本を選んで柱にした。来週オープンするコンテナショップと合わせて、たねやグループの新しいお菓子の展開に注目して欲しい」と話した。正面の扉が開けられると、岩なども配した水田が広がり、それを中心に丸く回廊が作られ、右手に「栗百本」「銅屋根」がお目みえした。

カステラ専門店「栗百本」

カステラ専門店「栗百本」

 カステラショップ「栗百本」は、約610㎡、カフェも併設。「工房と店を1つにしたかった」と語る山本徳次会長の思い通り、店内製造されたカステラを販売する。
 商品は、山本会長が精魂込めた伝統のカステラと、新商品で限定商品「八幡カステラ」の2品。カステラは、しっとりとさせるため寝かせるが、「八幡カステラ」では、焼きたてがおいしいレシピを新開発。小倉餡が付属し、そのままと、餡をかけての2つのおいしさを提案する。原材料にもこだわり、卵は伊賀の養鶏場でその日産まれた新鮮なものを使っている。カフェは栗の曲がった柱が並び、栗林にいる趣があり、カステラのほか、ランチにその卵を使ったオムライスを提供する。

「八幡カステラ」

焼きたての「八幡カステラ」

 また、7月21日(木)には、コンテナショップが開店した。コンテナショップは、回廊の水田の向かって左手にある。メインショップの一角にあったクラブハリエのベーカリーショップ「ジュブリルタン」が移動してきたほか、リーフパイやバームパイ、かき氷、クラブハリエKIDSなどがコンテナ形式の店舗を構える。また、新たな試みとして、ライスコロッケの「アランチーノ」のショップが誕生。コンテナショップは、若手のチャレンジを応援するとの位置づけで、今後も、この開放的な空間で新しいアイデアの店をオープンさせていく予定とのこと。

本社内観

本社内観

 また、同日、移転した新築社屋「銅屋根」を報道陣に公開した。建面積597㎡(延床面積3556㎡)。楠がシンボルツリーとしてつき出しており、反対側は4階建ての塔になっている。4階は展望室で、藤森作品の展示も行われる。1階は、開放的なフロア構成で、企画室やデザイン部門も入った。NPOたねや近江文庫所蔵の郷土資料も置いている。
 ラ コリーナについて、山本会長は「緑を大きく育て、子どもにも楽しんでもらえるようにしたい」と話す。水田は昨年から有機農業で育てており、昨秋には初めての稲刈りをし、稲の穂立てをした。トンボも飛んでいたとのことで、ラ コリーナの中心に失われつつある日本の原風景を配置した格好だ。
 田中朝子広報部長は「全体が見渡せるようになり、ここで目指そうとしていることを感じていただけるのではないか。ひとまず一段落だが、全体のからいえばまだ半分くらい。森にしていく長い時間を考えれば、終わりはない。人と自然がどうかかわり共生していくかを示す場所になればと思う」と話す。

新本社棟「銅屋根」

新本社棟「銅屋根」