㈱菓業食品新聞社

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京らく製あん所 京都店

   

宇都賢一社長(京らく製あん所京都店にて)

 ㈱はなみち(宇都賢一社長)は11月1日(月)に、下京区の高辻西洞院通下るに「京らく製あん所京都店」をオープンした。昨年3月、阪急うめだ本店地下2階にオープンした1号店に次いで2店目。西洞院通に面した1階にあり、広さ25坪で本社事務所も兼ねている。

製餡所は、素材の源流に近い

 京らく製あん所は餡にフォーカスした菓子を製造販売するブランド。
 京都市南区の㈱京洛製餡(内藤龍彦社長)の銅釜直火で焚いた、みずみずしい餡を「生あん」と名付け、それを使用する。どらやきの「虎嘯(こしょう)」、「あんビスキュイ」などの商品がある。

 11月下旬に新店を訪ね、宇都社長に話を伺った。
 宇都社長は、㈱たねやで商品や店舗開発に長く携わった。2017年に独立し、菓子店のコンサルティングや新商品提案などを手掛け、2020年には㈱はなみちを設立。
「『京らく製あん所』は、当初、阪急うめださんから「あん」をテーマに今までにないブランドを立ち上げたいとの企画依頼がスタートだった」と話す。「餡ならば、裏方ではあるが、和菓子店よりもっと素材の源流に近い製餡所に着目するのが面白いと思った。㈱京洛製餡の内藤社長に相談し、餡は京洛製餡、それを菓子にするのは当方とし、滋賀県に小さな工房も立ち上げた」とのこと。

 製餡所に京洛製餡を選んだのは「おいしいということ、そしてきめ細かな仕事をし、臨機応変で、少ないロットでも対応してもらえ、様々なチャレンジをしてくれるから。名前もお借りし『製あん所』と入れ、餡に特化していることをわかりやすく示した。別会社ではあるが、京洛製餡様には当社の株主にもなっていただき、事業パートナーでもある」

みずみずしい餡で、あんこ好きの裾野を広げたい

 長く菓子作りに関わった宇都社長には、どういう餡がおいしいのか、その答えは最初からあった。食べ口のよい、糖度を抑えた、水分を抱きかかえたみずみずしい餡。製餡所は基本的には、菓子店の注文にそって作る。しかし、自分たちの餡となったとき、どういうものを提案するか、内藤社長ともよく話し合い、方向性を決めた。
 「あんこはこんなにおいしいんだと思ってもらえるような、今まであんこが嫌いだった人にも食べてもらえるようなブランド。あんこ好きの裾野を広げたい」と話す。

どらやき「虎嘯」

 看板商品にしたのは、どらやき「虎嘯」。
 うめだ阪急の店では、店内厨房で皮を焼き提供している。「ストレートに餡を味わっていただくため、餡の糖度を抑え、柔らかいものとした。餡の量も、通常の2倍60グラム入り、どこから食べても一口目からあんこがある。生地はメレンゲを入れてふわっとやわらかい食感に仕上げた」。

「季(とき)のあん」

 餡の瓶詰め「季(とき)のあん」。
 定番のつぶあんとこしあん、季節のフルーツ餡と「あんバター」がある。フルーツ餡は、いちごあん(福岡県産あまおう)ももあん(和歌山県産桃)など産地にもこだわったフルーツをたっぷり使用し、素材感のあるものにしている。「あんバター」は、そのままパンに塗って楽しめるとあって人気商品になっている。

食べ方の提案⇒「おさじパイ」

 面白いのが、さじの形をしたおさじパイで、そのまま餡をのせて食べられる。
「ブランド名に『製あん所』としたときから、餡をそのまま瓶詰めにする商品は考えていた。ただ、同時に食べ方の提案が必要だと思った。あんことパイは相性がよい。パイ生地にのせて食べていただくのにスプーンの形を思いついた」と話す。型は自分で粘土でつくり、金型屋に持ち込んだ。油分のある生地を焼いてもらう最中種屋探しに苦労した。

 新商品のあんビスキュイ
 餡と乳製品との相性はよいので、ビスキュイ生地にはたっぷりとバターを入れ、オレンジピールの酸味をプラスした。阪急店の厨房でスタッフと試作を重ねて作り上げた商品。

環境面にも配慮

 また、環境面にも配慮している。
 小豆ラテではこしあんの製造過程で捨てられる、小豆の皮を使用している。
 折箱も、過剰包装をやめシンプルにした上、再生紙を使用している。しかし、充分に美しく、素材感やごまかしのないブランドイメージを表現している。

「虎嘯」の紙箱

餡をもっと日常の生活に

 「オープンして一カ月だが、常連さんもできた。京都には伝統文化に紐付いた和菓子文化があり、ここの近隣には名店も多い。既存の和菓子店と競合するとは思っていなくて、もっと裾野の広い、普段あんこに親しんでいない方にも訴えかけられるよう、今の食生活にあったものを提案していきたい。和菓子や洋菓子という区別はしていない。ただ、このあんこに何をどう掛け合わせたらよりおいしくなるのか、うちらしいアレンジを考えている」と語る。
 業界に対して、「餡がもっと日常の生活に入っていけるような方法を皆で考え、餡の文化を盛り上げていきたい」と話す。

京らく製あん所 京都店