㈱菓業食品新聞社

お菓子の業界紙

阪急うめだ本店 第7回 時をかけるあん

   

 阪急うめだ本店では、11月10日(水)から15日(月)まで、9階祝祭広場にて、餡の魅力を紹介するイベント「第7回時をかけるあん」が行われた。歴史あるあん菓子から、新鋭の菓子まで集合し、老舗の実演販売もあり、今回もあんこ好きには見逃せないイベントとなった。また、ECサイトも開設したほか、インスタグラムでライブ発信も行った。

 一個から買え、選ぶ楽しさを演出する「全国のあん菓子マルシェ」として、まんじゅう、団子、最中、きんつば、ようかんとジャンルごとに全国の銘菓や変わり種の約50品揃えた。加えて、毎回充実させているどらやきのコーナーでは約30品、今回スポットをあてた大福に約20品を並べた。

どらやきのコーナー

大福コーナー

 「おいしく、かわいく進化する伝統あん菓子」として、老舗がブース出店し、実演販売などを行った。 
 鶴屋𠮷信は、「生つばら」5種(柚子・抹茶・ラムレーズン・栗・丹波大納言)を販売。京都の本店横に一昨年にオープンしたtubara cafe と同じように、銘菓「つばらつばら」の皮を使って、その場で作った。もっちりした皮、マスカルポーネ入りの餡が、いい塩梅に口の中で調和する。

鶴屋𠮷信は「生つばら」実演

 芋ようかんで有名な東京浅草の舟和は、その芋あんをパイ生地に包んだ「さくさくおいもパイ」を販売。職人が出張して、バックヤードも使い、出来たてを提供した。

 赤福も職人が出張し、赤福の実演販売。伊勢で食べるようなみずみずしい赤福を販売した。

 亀屋良長は「スライスようかん 小倉バター」と新商品の「スライスようかん 焼き芋」などを用意。食パンに乗せトーストするという発想が受け、メディアでも取り上げられ人気商品となっている。羊羹は製造からカットまで手仕事で作っており、上にのるバターも羊羹になっている。

 とらやは、京都の工房で作ったきんとん「亥の子珠」を毎日搬入した。(鎌倉時代の文献を参考にした)同店「亥の子餅」を、アレンジし、干柿とごまの入った餡を求肥で包み、さらに黒糖餡ときな粉餡の2種のそぼろで包んだ逸品。

とらや「亥の子珠」

 富山県高岡市の中尾清月堂の「ホットドラバター」は、バターが入ったどらやき。袋を少し開け電子レンジで30秒ほどチンする。しっとりふっくらほかほかの生地に、バターのいい香り。毎年人気なので、今回はブース出店した。

中尾清月堂の「ホットドラバター」

 また、日替わりあん菓子のコーナーでは、塩瀬総本店「本饅頭」、喜福堂の各種あんぱん、叶 匠壽庵の寿長生の郷でしか販売されていない「匠のあんぱん」、出町ふたば「名代豆餅」、森のおはぎのおはぎ6個セットなど、現地に行かないと手に入りにくい商品が販売された。

 「100年老舗あん菓子撰」では、大極殿本舗の饅頭、伊勢源六たちばなやの金つばなど。一力総本店はどらやきのほか、トッピングできる最中「AWASE」を限定販売した。両口屋是清はいちごをあんで挟み、ホワイトチョコを重ねた棹菓子「時をかけるあん」を限定販売。

 あんペーストのコーナーでは、都松庵中村製餡所などの小倉あんやこしあんも販売された。

 同店銘店・和菓子商品部の守屋春美氏に話を伺った。
 「一回目は洋菓子に餡が使われたころで、洋菓子も紹介したが、やはり餡となると和菓子店で、和菓子のイベントとして行うようになった。毎回テーマを作っているが、今回は大福とし、北海道から九州まで12店舗の商品を入れた。日持ちがしないのでリスクもある。毎朝入荷しているものや、空輸したものもある。どらやきは一回目から積極的に取り組んおり、大阪の花かんざしさんのあんこがはみ出した『どらボール』もさらに大きくしていただいたりなど、変化をしている。また、今回は小豆の品種に注目した」とのこと。
 日本あんこ協会のにしいあんこ会長の監修のもと、「エリモショウズ」「きたろまん」や希少な「馬路大納言小豆」「黒さや大納言」まで解説。大福やどらやきの餡にどんな品種の小豆が使われているかポップに明記した。
 「お客様がSNSで紹介してくださることの影響はとても大きい。また、今回インスタライブで紹介したお菓子がよく売れている。午前中は女性が多いが、男性客も比較的多い。あんこ好きが集まり、あんこをダイレクトに食べたいという需要がおおいのか、きんつばなども人気だ」とのこと。期間を重ねて、地下一階の入口催事ブースでは京らく製あん所が出展したが、そちらも連日大人気になっていた。
 毎年どころか、期間中毎日来られる人もいるという、和菓子好きを引きつけるこのイベント、守屋氏は「終わったとたん、来年はどうしよう」と考え始めると話す。