㈱菓業食品新聞社

お菓子の業界紙

であいもん×えいでん

   

 叡山電鉄㈱は、京都の和菓子店を舞台にした漫画「であいもん」とコラボし、4月7日(日)から9月30日(月)までの予定でラッピング電車を走らせる。
 このコラボを記念して、4月7日午前11時より、八瀬比叡山口駅でイベントが行われた。作者の浅野りん氏のサイン会や原画展、ラッピング電車の展示のほか、「であいもん」に由縁のある和菓子店3店も出店し、多くのファンがつめかけた。

 「であいもん」は、ヤングエース誌に連載され、単行本が現在6巻まで発行中。老舗京菓子店の子息が、東京からバンドマンの夢やぶれて戻ってみると、複雑な事情を持つ10歳の女の子が跡取りとして働いているところから始まる。
 そして、季節ごとのお菓子が、一話一話の店や周辺人物の人間模様と重なっていく。京都の生活文化や風景も描かれているのも魅力だ。
 巻末には和菓子店を取材したエピソードも添えられている。

浅野りん「であいもん」

 京都府生菓子協同組合(北川清治理事長)では、昨年1年間、京都新聞に「であいもん」とのコラボ広告を出稿し、先号で報じた通り、今春にはポスターを制作し、加盟店に配布したところだ。

 今回のラッピング電車では、主人公の一果さんが叡山電車にちなんだ青もみじの薯蕷饅頭などを差し出しているイラストのほか、車内にも描き下ろし漫画が貼られており、ファンには楽しみな仕掛けがたくさんある。

 当日は、左京区の緑菴では第6巻に出てくる「唐衣」や青もみじの薯蕷饅頭、桜のきんとんの3個セットを販売した。
 双鳩堂は銘菓「鳩もち」や「八重桜餅」「よもぎ草餅」など。
 6巻の中で取材されている愛知県豊田市の近江屋の野場功祐さんは、京都と由緒のある店や大阪でも修業したという。「苺大福」や銘菓「おいでん巻」を販売。
 各店1時間もせずに、すべて完売していた。


 企画した叡山電鉄㈱の福村哲也氏は
「なにより漫画のキャラクターが魅力的で、大ファンになってしまった。この漫画を一緒に盛り上げたいとの思いで企画した。弊社沿線も舞台として登場するのもありがたい」と語る。

 浅野りん氏は
「連載を始める前、和菓子の世界を知らないことに不安だったが、緑菴の岡田久広さんに相談すると、好きなように描いたらいいと言われて、ほっとした。一番の苦労はお菓子をおいしそうに描くこと。画はペンで描いており、生地の柔らかさの表現が難しい。漫画を読んで、和菓子が食べたくなったと言っていただけるのが、一番うれしい。和菓子は知れば知るほど奥が深く、生活に密着しているので、表現のバリエーションが広がっていく」と語る。

 北川理事長は
「従来とは変え、イラストや漫画の表現でポスターを作れないかと考えていたところ、岡田さんより浅田先生を紹介いただいたのが、コラボのきっかけ。ポスターを貼るかどうかは各店の判断。今まで生菓子に興味を持っていなかった層にも訴えられたらよいと思う」と語る。