㈱菓業食品新聞社

お菓子の業界紙

「SHUKA」 甘納豆ベースに新しい菓子

   

 甘納豆製造の㈲斗六屋(近藤健史社長)は、新ブランド「SHUKA」を立ち上げ、10月6日(木)中京区壬生の本社工場に隣接して新店舗をオープンさせた。

 SHUKAとは「種菓」から取っており、「自然のめぐみに手を添える」をコンセプトとした。甘納豆製造の技術をベースに、従来の豆に加え、ナッツやカカオなどの素材も用いて新感覚のお菓子を提案する。

 店舗は2階建てで、1階で商品のディスプレイと販売を行う。隣接工場の設備を配置換えし、ショップの窓越しに製造風景を見られるようにする。また、今後展開予定の洋菓子等製造のためのキッチンを併設した。2階は、将来的にイートインスペース等に活用したいとのこと。

 10月4日には内覧会が行われ、ブランディングを担当した㈱中川政七商店の谷尻純子氏が司会を担当。近藤社長が経緯を説明した。
 大学院を卒業後、たねやで2年働き、家業に戻ると第一印象としては「古くさい」と感じた。実際に甘納豆はお年寄りの菓子と思われている。一方、良い菓子だと思うことが3点あった。
①シンプルなこと
②アレルゲンなどもなく、ヴィーガン等にも対応できる
③素材の形を残している。
 イタリアでスローフード見本市に行き、甘納豆を提供したが、豆を甘くして食べる文化がないので、微妙な反応が多かった。チョコレートは皆が好きだった。そこで、ダリケーさんに協力いただき挑戦したのが、カカオの甘納豆。良い商品が開発でき、注目もされたが、「甘納豆」というもののイメージを変えることまではできなかった。

SHUKAカカオ

 そこで中川政七商店に思いを伝え、一緒にブランド名やコンセプトを考えていった。
 このショップも「自然のめぐみに手を添える」というコンセプトによっている。壁はすべて土壁(稲わらと京都の土使用)、天井に明かり窓をつけており、種が芽を出す気持ちを表現した。

 商品は、斗六豆、瑞穂大納言小豆、丹波黒豆、ピスタチオ、カシューナッツ、カカオの6種からスタートする。それぞれ産地・品質にこだわり抜いた素材を使い、添加物は一切加えずに日持ちも確保している。ただ従来と違い、素材の硬さを感じられる状態に加工し、食感においてもそれぞれの個性が引き出す。
 斗六豆は北海道産の大粒の白花豆を使い、ホクホクとした食感で仕上げに和三盆糖を加えた。
 瑞穂大納言小豆は、最高級の小豆の風味を残し、噛む程に味わいがあるように仕上げた。
 ピスタチオは、イランの指定農園のスーパーグリーンと呼ばれるものをセレクト、仕上げに和三盆糖を加えている。
 カカオでは、京都発のチョコレートブランド「Dari K」のインドネシア産カカオ豆を使用し、ココナッツシュガーを用いている。チョコレートと違い、皮を除去しないこと、焙煎しないことでフルーティーな深い味わいを実現している。

SHUKA斗六豆

 最初は店舗とECからスタートする。
 近藤社長は「もともとはBtoBが7割だったが、コロナ禍が始まり百貨店の売上がゼロになった。それがBtoCに舵を切るきっかけになった。適応しないと生き残れない。一箱900円から1300円という価格帯は、従来の甘納豆では高いと感じるかもしれないが、新しい菓子としての価値を感じていただけたらと思う」とのこと。

近藤健史社長