㈱菓業食品新聞社

お菓子の業界紙

「であいもん」アニメ化 京都の和菓子店が舞台

   

 京都の和菓子店を舞台にした漫画作品『であいもん』(浅野りん作)がアニメ化され、4月6日から全国で放送されている。京都ではKBS京都の水曜深夜25時35分から、またBS、スカパー!でオンエアされるほか、dアニメストアなどでも配信されている。

 「であいもん」はKADOKAWAの『ヤングエース』誌上で2016年から連載中で、単行本は現在13巻まで出ている。小学生「一果」と家業に戻った「和」を中心に和菓子をモチーフに人々のふれあいが描かれている。

 アニメの放送に合わせて、YouTubeでは声優が京言葉や和菓子作りを学ぶ実写動画が配信されている。
 2月28日(月)には山科区の山科鳴海餅(高野元博店主)で、主人公の雪平一果役の結木梢さんと同じく店で働く堀川美弦役の鈴木みのりさんが和菓子作りに挑戦する動画の撮影が行われた。

 ㈱KADOKAWAアニメ事業局宣伝部の福田順部長は、
「『であいもん』はすべての年代、男女問わず人気のある作品。小学生『一果』さんの成長物語の面に注目し、親世代も含め共感できるような内容としたい。今回の動画では、和菓子に親しんでもらうことに加え、一果役の結木さんも新人なので、主人公とともに頑張っている姿を応援いただければ」と話す。

 当日は、同店の高野店主の指導のもと、アニメ第一話に登場する薯蕷饅頭の「よもぎ薯蕷」ほか複数の和菓子に挑戦した。収録時には先代の高野元弥氏が手ほどきをし、見事な職人の技を披露する一幕も。また上生菓子では、声優の2人が描いてきたデザインをもとに元博氏も工夫を凝らし、菓子へと完成させた。

動画撮影の様子

 浅野りん先生も訪れ、撮影の様子を見学した。話を伺うと、
「アニメでは声優さんが感情を声に込めるので、キャラクターの気持ちを再認識する機会になっている。今後の作品作りにも良い影響がでそうだ。ラストのイメージはあるが、そこに向けどんな風に話が進んでいくか、私の中でも未知数。コミックでは、もうひとりの主人公『和』の抱えている問題にも触れていこうと思っている」とのこと。
 作品では毎話、お菓子が大事な意味付けをもって登場する。
「京菓子一つひとつに由来や意味があり、まだまだネタ切れになることはない。漫画ではオリジナルのお菓子も描いたのだが、それを鳴海餅本店で実際のお菓子に再現してもらった。美味しいものができたと言ってもらい、感動した」と話す。

 放送開始を記念してKADOKAWAは京都府生菓子協同組合(北川清治理事長)と協力してポスターを制作。組合所属店舗に掲示の協力を案内するとのこと。
 高野元弥氏は「京都の菓子を伝える良い機会として、活用していかなくてはいけない」と話す。