㈱菓業食品新聞社

お菓子の業界紙

京都髙島屋 和菓子売場リニューアル

      2016/12/29

 京都髙島屋は、9月14日(水)地階の和菓子売場をリニューアルオープンさせた。
 10年ぶりとなる改修で、阪急河原町駅直結の地下東入口をメインゲートにストリートを通し、和菓子売場をゾーニングした。たねや、笹屋伊織など新規3店を導入し、リニューアル9店のほか、髙島屋の自主コーナー(季節生菓子・京菓匠・銘菓百選)を拡充するいう大規模なものになった。

和菓子売場リニューアル

和菓子売場リニューアル

 入口近くに、京都の和菓子を集結しアピールした。
 各店暖簾を掲げる共通意匠で統一感を出し、ストリートから路地に入るような京の街歩きをイメージさせた。また、記念の限定菓子も多数取り揃えたほか、本店でしか買えない商品や、予約しないと買えない商品なども特別販売し、和菓子好きにはたまらないオープニングとなった。

季節生菓子コーナー

季節生菓子コーナー

 今回の改装の目玉の1つが、「季節生菓子コーナー」。同コーナーでは京菓子6店(二條若狭屋、亀屋良長、千本玉寿軒、本家玉壽軒、京都鶴屋鶴寿庵、塩芳軒(火金土))の上生菓子を1個から組み合わせて買える。今までは、売場奥にあったが、今回入口入って右手直ぐに展開した。
 同店和菓子売場担当の安井秀典氏によると「このコーナーは、当店ならではであり、売上も伸びているので、和菓子売場の顔として正面に打ち出したいと考えた。上生菓子は敷居が高い面があるが、目に触れるようにし、興味をもつきっかけにしてもらえればと思う」と話す。リニューアル記念として、「秋の京都」のきんとんをテーマに、6店がそれぞれ競作した(9月27日まで)。

 また、「NEW進化形の和菓子」として、若い人に向けた新しいお菓子を提案したことも、改装のポイント。安井氏は「若い人は和菓子を『かわいい』という目で再発見している。従来通りではなく、新しいものをバランス良く取り入れたいと、老舗の方に提案したところ、非常にクオリティーの高い限定菓子を提供していただいた」と話す。

「京菓匠コーナー」では、京菓子老舗約15ブランドの銘菓が揃う。
 リニューアル記念限定菓子(10月4日まで)として、多くの魅力的なお菓子が揃った。亀屋良長の「バラの烏羽玉」は、中にバラのゼリーが入り、フランボワーズとライチの餡玉で包んでいる。長久堂「宴の舞」は、レモングラスとサングリアの琥珀糖で市松模様と扇を表現。

鶴屋吉信 「KOHAKU - TOU CUBE」

鶴屋吉信 「KOHAKU – TOU CUBE」

 リニューアルした鶴屋吉信は、藍色を基調とした店内で、かみ添の型押しの和紙で、同店の紋章を掲げた。KOHAKU – TO CUBE は、1つ1つ手作りしたかわいらしいキューブ型の琥珀糖。豆の粉、生姜、黒糖、プレーンをシックな色合いでまとめた。

 俵屋吉富は、「今回の改装に合わせて、ギフト商品だけではなく、1個売りの商品を充実させた」と話す。限定商品としては、和菓子ケーキ「十五夜」を用意。軽羹と餡を重ねてホールとし、きんとんなどで、月見の意匠を表した。4人ほどで切り分けて食べられる。

 とらやは、売場の雰囲気に合わせ、白を基調とし、明るく、開放的な店作りをした。
 他、鼓月、末富、亀屋清永、井筒八ッ橋本舗、聖護院八ッ橋総本店、豆政がリニューアルし、各店とも記念商品を用意した。

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 新しく出店した笹屋伊織
 同店は、京都七条大宮で創業300年、銘菓どら焼など伝統の菓子のほか、積極的に新感覚の和菓子を販売し、全国的に好評を得ている。今回のテナント出店では、上生菓子に力を入れ、髙島屋京都店限定の生菓子も販売していくという。

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 今回の改装での大きな話題の1つが、京都初となるたねやの出店である。
 昨年のクラブハリエのオープン以来、顧客から、たねや出店の要望が多く寄せられたという。新店は、クラブハリエと同じく和紙作家・堀木エリ子氏の装飾による16坪のゆったりした店舗となった。
 山本昌仁社長は「縁があり、要望の多かった京都に出店することができた。京都の皆様に近江のお菓子を挑戦させていただきたい。新店では、宇治茶や白味噌など、京都の素材を使ったこの店限定の商品を用意した」と話す。
 たねやでは、お祝いで、粟を食べるとのことで、粟の入った『黄金大福』も用意。その他限定菓子に、ほうじ茶粉入りの「たねや京饅頭」、黒豆が入った外郎の「白露」などがある。

 京都・全国の銘菓が約700も集まる「銘菓百選」のコーナーも売場を広げ、買い回りしやすくなった。一個づつ個包装の商品を選んで買えるというのが、時代にマッチし、人気があるとのこと。