㈱菓業食品新聞社

お菓子の業界紙

「映菓座」 映画の街に駄菓子店

   

「映菓座」オープンの様子

 京福電気鉄道㈱は3月31日(水)、右京区の京福帷子ノ辻駅ビル「ランデンプラザ帷子」2階に、直営の駄菓子販売店舗「映菓座」をオープンした。
 店舗面積は60坪で、コンセプトは「映画のまちの駄菓子売り場」。

 「日本一のだがし売場」を本社敷地内にもつ㈱大町(秋山秀行社長)が協力し、駄菓子販売のノウハウを提供した。さらに、菓子・食品卸㈱丸正高木商店と㈱熊本玩具が納入を担当し、1100アイテムの駄菓子・玩具を取り揃えた。

 新店は、嵐電と大映通り商店街、松竹・東映・角川大映など地域の映画会社の連携を深め、地元を元気にする「映画・映像をテーマとする太秦エリアの活性化事業」の一環としている。内装の一部は、松竹撮影所等で数多くの作品に関わった美術デザイナーの原田哲男氏が担当し、「昭和」の懐かしい雰囲気を演出。茶の間をイメージしたくつろぎスペースなどが設けられた。

 オープン当日は、地元のちんどん屋「螢座」が盛り上げる中、家族連れなど約100人が列を作った。オープン記念で、嵐電と同じ創業110周年という縁でコラボしている不二家のミルキーともに、カゴを手渡されると、子どもたちは楽しそうに店内をまわった。

 店内の商品には手書きのポップがつけられ、飴、グミ・ガム、懐かしの珍味、大人買いコーナーなどにぎやかに展開。10円均一コーナーでは、ジャック製菓の「パチパチばくだん」など多数の駄菓子を陳列。やおきんのうまい棒も20種近く揃えていた。
 オープン記念で、森永製菓のキョロちゃん袋詰が山積みされたほか、半額コーナーも設置された。人気の鬼滅グッズコーナーでは京都限定の品などもある。
 駄菓子でいっぱいにしたカゴを見せあっている子どもたちの姿があった。また、お菓子を手に懐かしいと話す大人もいた。

 午後から2回、「駄菓子おじさん」に扮した㈱大町の秋山社長が登場し、紙芝居を公演した。3月12日「だがしの日」をアピールし、主人公ダーちゃんが、夫婦喧嘩、いじめや戦争までを、駄菓子で笑顔にするストーリー。登場する駄菓子を当てると、笑顔と交換で駄菓子をプレゼント。

駄菓子おじさん=㈱大町・秋山社長

 京福電気鉄道㈱沿線創造事業部の野々村洋一課長は、
 「地元活性化につながるお店を作ろうと、この太秦エリアは児童の人口が多いので、駄菓子の店を企画した。大町さんに出会い、社員を派遣して研修させていただいた。今日は新聞に折込広告を入れたが、地元の方に来ていただくのが一番。将来的には観光客にも認知いただけたらと思う」と話す。

 丸正高木商店の髙木誠治会長は、
「京都で一番の駄菓子売場となった。駄菓子店は昔は町内に1つはあったが、今は京都全体で10軒あるかどうか。当社は菓子卸ではあるが、10円20円のものなどでは今まで扱っていなかった商品もあり、このお店のために新しく仕入れた。準備期間は短かったが、形にはなったのではないか。駄菓子のテーマパークのようにすることができた」と話す。

 また、秋山社長は、
 「よい雰囲気のお店になっている。100円でたくさん買えるのが駄菓子の楽しみ。10、20、30円とたくさんのアイテムを置いて、選ぶ楽しさを演出する。ポップも必ず手書きにし、手作り感を大事にする。駄菓子は大人も楽しめるが主役は子どもだ。商品配列は全部低くして子どもたちが全部見えるようにする」と語る。
 秋山社長は「DAGASHIで世界を笑顔にする会」の会長も務める。
「駄菓子は日本のお菓子の原点。お菓子の神様、田道間守の命日をだがしの日としており、今年もコロナ禍ながらイベントを開催することができた。日本が誇るこの平和で大事な駄菓子文化を普及させていきたい」と語った。

茶の間スペースで一休み(左=髙木会長、右=秋山社長)