㈱菓業食品新聞社

お菓子の業界紙

中国「初吉」 日本菓子メーカーに協力求む

   

 「初吉(CHUJI/はつきち)」ブランドで、低GIクッキー等を中国国内で販売し急成長を遂げている上海億繁国際貿易有限責任会社(本社=上海市閔行区、徐怡俊社長)は、次の2点で日本の菓子メーカーの協力を求めている。
 一つは、低GI商品を委託製造するメーカー、もう一つは新規事業として行う日本菓子の販売について商品を納入するメーカーである。
 同社の大阪分社の峰本龍智社長に詳しく話を聞いた。 

初吉、低GI菓子で急成長

 同社は2015年に創立し、2017年に初吉ブランドとして、アリババグループのECサイト「淘宝網」で、雑穀等を使用し砂糖不使用の、血糖値が上がりにくい低GIクッキーの販売を開始した。

低GIクッキー

 当時類似商品はなく、予想以上のヒット商品となった。以後、世界最大の販売額を誇るアリババ「天猫」や「京東」などのECサイトに販売を広げ、さらに実店舗にも進出。イオン、百盛等のショッピングモールや百貨店、ウォルマート等のスーパー、Watsons等のドラッグストアなどに販売コーナーを持ち、アリババが展開する無人キャッシュレス最新コンビニ「盒馬」でも展開している。
 昨年の売上は前年比236%の約23億円と急増した。契約社員の販売員も含め、社員360人体制になっている。

 アリババ「天猫」だけで累計180万箱を売り上げた低GIクッキーのほか、タンパク質を強化したウェハースも開発し「天猫」でカテゴリー売上ナンバー1になる人気商品となっている。こちらは日本の漫画「ワンピース」とコラボも行った。

ライブコマース活用 1万人が動画で紹介

 同ブランドの販売にあたり最新ライブコマースやSNS等をうまく活用し支持を得ている。
 今注目の淘宝直播(タオバオライブ)はライブ配信で視聴者の質問にも答えながら商品を紹介するサービスで、視聴者はワンクリックで商品を購入できる。初吉の商品は多くのインフルエンサーにより推薦されている。
 また、動画共有サイトTikTokでは約1万人が約1万5千の動画で同社商品を紹介しているという。

低GI菓子、日本のメーカーにOEM求む

 今回、日本企業にまず製造委託を希望するのは、低GIのクッキー。月10トン~20トンを仕入れたいという。
 「中国では日本製造というとそれだけで安心される。低GIでおいしいものを製造するのは難しいが、日本企業の技術に期待している」と話す。
 「その他、フルーツゼリーやマドレーヌ、スポンジケーキなど様々な菓子の低GI商品についても、製造、研究開発や企画のご提案をいただきたい。製造や量産にあたって、設備投資が必要な場合は資金援助もしたい。
 日本企業の協力を得て、健康志向の強い中国で『低GIなら初吉』を目指したい」と話す。

日本の菓子を販売 サンプル送付求む

 また、新規の事業として同社では、上海や他都市の中心部に、日本の菓子の販売コーナーを設置することを予定している。日本メーカー工場直送で求めやすい値段で販売する。そこでの反応を見ながら、初吉と取引のあるショッピングモール、ECサイト等で日本菓子を販売していく計画だ。今年5月には開始したいとし、同事業に向けた菓子を日本のメーカーから募集している。

 希望する菓子は、賞味期限が90日以上、富裕層及び若年層に向けたもので、和洋ジャンルは問わない。中国では非常に歴史あるブランド、または新しい斬新なブランド、健康志向の商品が好まれる傾向がある。商談に先立ち、初吉の大阪分社にサンプルを送付してもらい、そこから選んで発注する。はじめは商品をそのままのパッケージで販売するが、反応をみてパッケージや商品内容に調整をお願いすることもある。

今、中国で日本の菓子を販売するチャンス

 「かつては、日本の食品は中国国内で高額で売られていたため一般の層が買えないものだったが、約5年前から、中国人が来日し日本の商品を大量に購入し、中国に持ち帰って売るケースが増え、価格が下がり求めやすくなった。しかし、コロナ禍となって大量買いの機会がなくなった。今は、日本の食品を常識の範囲内の価格で売るチャンスだ」と話す。

 商品代金は発注時に全額支払う先払い制。企業ID取得等のサポートも行う。サンプルは価格表を添え大阪分社まで着払いで送る。
 詳しくは菓業食品新聞社まで。

初吉→http://www.chujisp.com/
初吉大阪分社→ TEL 06-4398-9008