㈱菓業食品新聞社

お菓子の業界紙

中村軒の北野茶店

   

*取材したのは1月です

 中村軒(中村亮太店主)では、昨年9月7日から北野茶店を期間限定で開店している。
 西京区の本店が改修工事に入り、茶店の営業ができないため、その期間、今年の3月31日までの限定営業としている。

 北野茶店は今出川通に面し、北野天満宮のほど近くに位置する。店内飲食のみのお店として、カウンターと大きなテーブルが1つで19席。持ち帰り商品は一切置いていない。店内の窓から庭も眺められ、ゆったりと落ち着いた雰囲気がある。

 店に伺うとカウンターを案内された。
 中村氏は「本店で朝に仕事をし、こちらに来て、カウンターに立っている。出来たてを提供したい。今まで出来なかったことに挑戦したい」と話す。

「あたたかいおはぎ そば」

 もち米の味をダイレクトに感じてほしいと開発した限定商品「あたたかいおはぎ」を目の前で作っていただいた。
 通常のおはぎは、傷みにくく、固くなりにくくするため、蒸した米をお湯に浸す。その場で召し上がってもらえるのならば、その工程を省いた方がよいのではないかと考えた。
 本店でもち米を蒸した「白蒸し」を、ここで再度蒸す。熱いうちに包餡。トッピングには「きなこ」「ごま」、それに「そば」がある。蕎麦の実を炒って、香りを出してから振っている。
 一保堂の煎茶やほうじ茶とセットでいただける。

 「当店は、生菓子店=餅菓子店として、やはり餅米のお菓子にこだわり、その可能性を追求したい。京菓子店だと、こなしとかきんとんとなると思うが、それとは違う餅菓子店らしいもので考えていきたい」と話す。

「かぜしらず」

 メニューはそのほか、ぜんざい、お汁粉、あべ川など。代表銘菓「麦代餅」もこちらでは注文を聞いてから包餡し、きなこをつけて提供しているとのこと。秋には蒸したて栗の「栗もち」を提供した。
 また、「かぜしらず」は大きな柚子の皮の器に入った香り豊かな葛湯。 

 「コロナ禍で大変ではあるが、前向きになり新しいことをやる機会になっている。半年ほど新しい環境で新しい試みを続けられるのは貴重なことだ」と語る。

中村店主

テーブル席からは庭